性病とはどんな病気?種類や感染経路などの基礎知識まとめ

性病(性感染症)について、知っておきたい基礎的な知識・情報をまとめています。
感染の仕組みや将来的なリスクについても同時に紹介していますので、正しい知識をつけて自分の身を性病から守りましょう。

性病(性感染症)とは?病気の概要を解説!

性病は性行為全般を感染経路にする病気

性病とは、性交渉(セックス)や性的接触といった性行為によって、感染する可能性のある病気のことを言います。

一般的に考えられる膣での性交だけでなく、口腔を性器に接触させるオーラルセックスや、直腸を使用するアナルセックスなど、粘膜の接触によって感染する病気も含まれます。

そのため、性病は異性間のセックスだけでなく、「女性-女性」「男性-男性」といった同性間のセックスにおいても感染の危険性があり、どの様な人も注意が必要です。

「性病」という言葉は使用しない!?

実は、現在は「性病」という言葉はあまり使われず、「性感染症」という名称が正しい呼び方になっています。

これは、1999年に制定された感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)により、性病という名称は法律上からはなくなり、性感染症という名前に統一されたためです。

それに伴い、英語病名の略称STD(Sexually Transmitted Disease)やSTI(Sexually Transmitted Infections)も徐々に普及してきています。

しかし、私たちの生活の中ではまだまだ性病という呼び方の方が浸透しているため、当サイトでは性病という言葉を使ってご紹介していきます。

性行為の経験があれば、性病は誰にでも起こる!

性病は一般的な性生活でも感染する

「性病は風俗の病気」というイメージを持つ方もいまだ多いですが、性行為の経験があれば誰でも生じる可能性があります。

風邪などもそうですが、感染症は病原体(病気の原因となる菌やウイルスなど)が体に入っても、すぐに発症する訳ではありません。

自分の体内に入った病原体は増殖していきますが、体の免疫力によって退治ことができれば発症はしません。

しかし、病原体を持つパートナーと性行為をすれば、相手が発症していなかったとしても自分は性病に感染してしまうのです。

もちろん、風俗店のように性行為を商売にしている場所は、不特定多数が相手となるため、性病への感染リスクが高まるのも事実です。

だからといって、風俗以外で感染しないという訳ではありませんので、どのような人でも性行為には感染のリスクが伴っている事を覚えておきましょう。

症状がなくても安心できない!

性病の怖いところは、「症状が出ない」「知らぬ間に感染してしまう」という事です。

性病には様々な種類の病気がありますが、症状が出ない無症候感染であることが多いという点が特徴です。

自分の体に異常を感じる方ももちろんいますが、感染・発症したからといって必ずしも症状が出るとは限らず、知らぬ間に悪化するケースも少なくありません。

また、症状が出現する場合でも、男性よりも女性の方が自覚症状が弱いため、感染をしていても気付かずに、病院を受診する機会を逃しやすいという状況があります。

そのため、普段の健康状態と何ら違いが生じていなくても、自分の知らないうちに性病にかかっている恐れがあるのです。

1度でもセックスを経験をしている人であれば、誰でも性病に感染している可能性があることから、性病は非常に身近な病気な病気と言う事ができます。

気付かない病気だからこそ、意識して予防・対策を

昨今は、性交渉の低年齢化やオープンな性関係の浸透により、セックスパートナーが複数いる方も多くなっていると言われています。

性行為の相手人数が多いほど、自分の意識していない所で性病を他の人に移してしまっている(あるいは、移されてしまっている)危険性が高まるため、より一層注意が必要です。

また、パートナー間においては、一方が性病を治しても、もう一方が病原体を保有していればまた同じ性病に罹患してしまう「ピンポン感染」も問題です。

自分は大丈夫と過信せず、正しい性病の知識を持って予防・対策を行い、自分の体は自分自身で守りましょう。

性病の感染経路にはどのようなものがある?

①膣性交

膣分泌液や精液に性病の病原体が含まれていると、セックスによって感染してしまいます。

性行為は摩擦が生じるため、皮膚や粘膜が傷つきやすく、病原体が体内に入りやすい状態となるため注意したいところです。

セックスのパートナーは特定の人に限定し、コンドームをきちんと着用することで、性病の感染を防ぐことができます。

②口腔性交(オーラルセックス)

口と性器をつかったオーラルセックスでも、性病は感染する恐れがありますので、性器同士でなくてもコンドームを着用するなどの予防は必要です。

唾液に病原体が含まれることはありませんが、精液だけでなく血液にも病原体が含まれるため、口の中に傷があったり、歯周病で出血をしているなどの場合も含め、感染の機会は存在します。

また、性病の中でも「クラミジア」や「淋菌」は喉に感染して発症することも多く、性病だからといって性器に症状が出るとは限りません。

③肛門性交(アナルセックス)

性病の病原体が含まれるのは精液(さきばしり液を含む)、血液、膣分泌液などがありますが、実は腸の粘膜から分泌される腸粘液にも病原体が含まれるという報告があります。

腸の粘膜は薄いので、性行為の摩擦などによって傷ついてしまうと、病原体が体内へと進入しやすくなるのです。

すでに炎症が起こっている、痔・潰瘍がある、ヒリヒリしているという場合は、感染リスクが高くなるので注意しましょう。

④母子感染

性病の病原体を持つ女性が妊娠した場合、お腹の中にいる間に感染(胎内感染)したり、産まれてくる時に膣で感染(産道感染)してしまう事があります。

さらに、病原体は母乳にも含まれるため、産後の授乳を通して感染(母乳感染)する恐れもあります。

子どもに感染した場合、早産、死産、先天性の障害、肺炎・結膜炎・髄膜炎などの様々な発症リスクが生じるため、必ず医師のケアが必要です。

感染に注意したい性病の種類

クラミジア感染症

10~20代の若者にも多い性病で、100万人以上の感染者がいるとも言われており、特に身近な病気になっています。

症状が出なかったり、軽度な症状で終わってしまう事もあるので、感染に気付かないケースも多い病気です。

また、クラミジアはオーラルセックスによる咽頭感染も起こるので、性器だけでなく喉への感染も注意しましょう。

性器クラミジア感染症の症状と検査キット・治療薬

淋菌感染症

10~20代の若年層に感染が多いと言われている性病で、そのうち2~3割の人はクラミジア感染症を合併していると言われています。

風俗店での感染拡大が多いと言われているため、女性に比べて男性の患者数が約4倍と多い性病です。

女性の場合、保菌者男性へのオーラルセックスによって喉にも感染しますが、症状が出ずに気付かないケースも多くなっています。

淋菌感染症の症状と検査キット・治療薬

梅毒

性病の中でも、罹患者数が顕著に増加傾向にある病気で、特に注意したい性病の1つと言えます。

20代から40代まで幅広い世代で確認されていますが、特に20代女性の罹患率が高いと言われる性病です。

症状が出現しても一定期間経つと消失してしまうので、感染しているのに見過ごしてしまったり、治ったと勘違いしてしまう事があります。

梅毒の症状と検査キット・治療薬

エイズ(AIDS)

性病としては特に有名なエイズですが、HIVというウィルスに感染した後、何年もかけて体を蝕んでいきます。

エイズは、異性間の性行為よりも同性間の性行為の方が患者数が多く、特に男性の同性愛者は注意したい性病です。

レッドリボン活動によって知識の啓発が進んでいますが、いまだ年間100人以上の感染が確認されています。

エイズ(HIV)の症状と検査キット・治療薬

性器ヘルペス

口周辺にできる「口唇ヘルペス」はよく知られていますが、実は、性器にもヘルペスが出来る事があります。

性器ヘルペスは水膨れや痛みなどの症状が出やすいため、重症化することは少ないものの、1度感染すると体内のウィルスを完全に除去することはできません。

そのため、治療をしても1年以内に再発する人が約8割と非常に多く、長く付き合っていかなければならない性病です。

性器ヘルペスの症状と検査キット・治療薬

尖圭コンジローマ

あまり馴染みのない病気ですが、ヒトパピローマウイルスのうち、良性型に感染した場合によく起こる性病です。

ニワトリのトサカの様にいびつな形のイボ・できものが生じるのが特徴ですが、痛みやかゆみなどの自覚症状は少ないと言われています。

また、感染してから症状が出るまでに何カ月もかかることがあり、感染後すぐに発見できるとは限りません。

尖圭コンジローマの症状と検査キット・治療薬

膣トリコモナス症

性病に多い菌やウイルスではなく、微生物(原虫)の感染によって生じる少し珍しい性病です。

はじめは性器に感染していても、原虫が動き回る事で、肛門・腸や尿道・膀胱へと拡大することがあります。

感染者のうち2~5割の人は自覚症状が出ないので、性病にかかっていると気付かない事もあります。

膣トリコモナス症の症状と検査キット・治療薬

性器カンジダ症

誰もが体に持っている常在菌のカビ(真菌)が、免疫力低下や薬の作用、病気・妊娠などによって増殖し、症状を引き起こす性病です。

性行為によってパートナーに移す事があるため、性病として扱われてはいますが、カンジダ自体は性行為がなくても発症するため、他の病気とは少々分けて考えられます。

かゆみやおりものの性状変化など、強い症状をもたらすため気付きやすい性病ですが、原因が常在菌によるものなので再発率も高くなっています。

性器カンジダ症の症状と検査キット・治療薬

性病は早期発見がとても大切!

症状がなくても進行!重篤化する恐れも

性病は症状がない、あるいは症状が軽い場合でも病気が進行することが多く、早めに病気を見つけることが非常に重要となります。

特に女性は、膣で感染した後、子宮頚部、子宮体部、卵管・卵巣、骨盤内へと炎症が広がる「上行感染」を引き起こし、重症化してしまう恐れがあります。

また、男性でも性器や泌尿器に炎症が起こり、無精子症など将来へのリスクが生じることもあるのです。

症状が出ている場合はもちろん、症状はなくても不安な行為がある時は、すぐに検査を行うことが大切です。

妊娠・出産時にも影響を及ぼす

性病はただの感染症としての病気だけでなく、不妊、流産、分娩時の産道損傷といった妊娠・出産に係る大きな弊害を引き起こしてしまいます。

子どもに感染すれば、胎児異常や様々な病気の発症につながるため、感染している方はしっかり治療してから妊娠計画を行いましょう。

将来的に妊娠・出産を希望する方は、男女ともに早めに感染の有無を検査することが大切です。

性病検査キットで早めの確認を!

現在は、病院へ行かなくても郵送性病検査キットを使用することで、自宅で性病の感染の有無を確認することができます。

「病院へ行く時間がない」「婦人科や泌尿器科には行きづらい」という方も、思い立ったらすぐに検査が可能です。

匿名で検査を受けることができ、結果も本人しか閲覧できないようになっていますので、恥ずかしがらずに早めの検査を受けるようにしましょう。

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