性器クラミジア感染症の症状と検査キット・治療薬
性器クラミジア感染症は、日本の性病の中で最も感染率の高い性病です。
性病の説明や症状のほか、治療方法やクラミジアの検査ができる性病検査キットなどについてまとめました。
性器クラミジア感染症とは?
日本で最も感染者が多い「性器クラミジア」
クラミジアの中でも、クラミジア・トラコマティスを病原体とする性病です。
16歳~25歳の若年層だけでも、100万人を超す感染者がいると言われています。
膣性交だけでなくオーラルセックスによる感染も多く、咽頭感染の危険性もあります。
症状が軽かったり、無症状である事がほとんどで、知らぬ間に相手に感染させていたり、重症化してしまうことが多いのが現状です。
男性に比べて女性の感染者の方が多い性病ですが、不妊症や子宮外妊娠といった重大な問題につながりますので、早期発見・早期治療が非常に重要です。
重篤な場合、肝臓周辺にまで炎症が及び、臍上の腹部の痛みによって救急搬送されることもあります。
性器クラミジア感染症の統計
平成25年の定点報告では、男性12,369人、女性13,237人と、性差による患者数はそれほどないように見受けられます。
しかし、クラミジアは男性の方が症状が出やすいため、潜伏している女性罹患者を含めると、圧倒的に女性の方が多い性病です。
平成21年から総数は横ばい状態になっており、患者さんを一人でも減らすためには、意識的な性病検査が必要になってきています。
性器クラミジア感染症の症状
女性の感染経路と症状
セックス後、2~3週間の潜伏期間を経て、症状が出現します。
最初は子宮の入り口である頸部に感染を起こしますが、ほとんど症状がありません。
炎症が子宮体部、卵管、卵巣、骨盤内へと広がっていっても、軽い症状しか認識しないことが多く、放置しやすくなってしまいます。
肝周囲炎にまで症状が広がると、急に激痛に襲われ、入院しての治療が必要です。
また、感染が長期化するに従って、不妊、子宮外妊娠、子宮内膜に感染した状態では流産や早産といった合併症をきたします。
万が一、感染した状態で妊娠すると、産道で新生児に感染し、新生児肺炎や新生児封入体結膜炎を発症します。
女性の症状(性器クラミジア感染症)
サラサラとしたおりもの(液性帯下)の増加、下腹部痛み、性交時痛、不正出血
男性の感染経路と症状
男性は尿道から感染し、炎症が広がると精巣などにも影響を及ぼします。
男性は女性よりも症状が出やすいとは言われていますが、それでも軽度であることが多いです。
放っておくと、前立腺炎や血精液症といった病気を引き起こします。
男性の症状(性器クラミジア感染症)
軽度の排尿時痛、尿道のかゆみ・不快感、尿道から少量の膿が出る、精巣上体の腫れ、軽い発熱・痛み
咽頭部の感染経路と症状
コンドームを使用しないオーラルセックスにより、のど(咽頭)への感染が増えています。
ただし、咽頭感染は症状が出現しないことも多く、見逃されがちです。
咽頭部の症状(性器クラミジア感染症)
のどの痛み・腫れ、発熱
クラミジア感染症の郵送検査キット
性器クラミジア感染症の検査キット比較
販売店名 | 検査キット価格 | 検査日数 | 検査方法 | 単品検査 |
---|---|---|---|---|
STDチェッカー | 4,950円~ | 検体到着後、1~3日 | 男性:尿 女性:膣分泌物 |
あり |
さくら検査研究所 | 3,860円~ | 検体到着後、3営業日程度 | 男性:尿 女性:膣分泌物 |
あり |
予防会 | 4,060円~ | 検体到着後、2~3日 | 男性:尿 女性:膣分泌物 |
あり |
GME医学検査研究所 | 3,450円~ | 検体到着後、最短翌日 | 男性:尿 女性:膣分泌物 |
あり |
ふじメディカル | 3,500円~ | 検体到着後、最短2日以内 | 男性:尿 女性:膣分泌物 |
あり |
※検査方法で「膣分泌物」と表記されているものは、販売店によっては「膣分泌液」や「子宮頸管擦過物」となっている場合もあります。
性器クラミジア感染症は、日本での感染者が非常に多いため、どこでも検査を受けることが出来ます。
症状が出ないことも多いため見過ごされがちですが、少しでも体に違和感を覚えたり、不安なことがある場合には、悪化する前に検査を行いましょう。
また、性器クラミジア感染症は、2~3割の確率で淋菌感染症を併発しています。
単品検査もありますが、郵送検査キットを使う際はできるだけ淋菌感染症も一緒に検査をしておくと安心です。
咽頭クラミジア感染症の検査キット比較
販売店名 | 検査キット価格 | 検査日数 | 検査方法 | 単品検査 |
---|---|---|---|---|
STDチェッカー | 6,050円~ | 検体到着後、1~3日 | うがい液 | なし(淋菌とセット) |
さくら検査研究所 | 4,170円~ | 検体到着後、3営業日程度 | うがい液 or 咽頭拭い液 | あり |
予防会 | 5,250円~ | 検体到着後、2日 | 咽頭拭い液 | なし(淋菌とセット) |
GME医学検査研究所 | 3,450円~ | 検体到着後、最短翌日 | うがい液 | あり |
ふじメディカル | 3,500円~ | 検体到着後、最短2日以内 | 咽頭拭い液 | あり |
クラミジアは、オーラルセックスを通して咽頭(のど)にも感染している可能性があります。
感染に不安を持ったら、咽頭クラミジア感染症の検査も行いましょう。
咽頭クラミジアの検査には、喉を綿棒でこする「咽頭拭い液(咽頭擦過物)」と、うがいした液を採取する「うがい液」の2方法がありますが、現在はうがい液での検査の方が検出率が高いとされています。
性器クラミジアと同様、喉の検査も淋菌感染症とセットで行った方が良いでしょう。
性器クラミジア感染症の治療方法
性器クラミジア感染症を治療するには
基本的には、抗菌薬の内服薬で治療を行います。
ただし、一般的に体調不良などで処方される抗生物質(β-ラクタム系)は性器クラミジアには効果がないため、きちんと診察を受けた上で適切な薬を服用することが大切です。
抗菌薬の中でもマクロライド系を用いることで、妊婦に対する治療も行うことができます。
薬を処方されたら1週間程度内服を続けた後、再診を行います。
あまり治療効果が出ないようであれば、さらに1~2週間程度治療を継続しなければなりません。
また、内服ではあまり治りが良くない場合には、点滴を使用することもあります。
クラミジアの検査方法についてはクラミジア検査キットの使用方法と費用を確認してみてください。
性器クラミジア感染症の治療薬
クラリスロマイシン(Synclar)
- 種類
- マクロライド系抗生物質
- 特徴
- 幅広く効果を発揮するため、クラミジア治療の第一選択として用いられます。ただし、よく使用される薬であるため、耐性菌が徐々に増えてきています。
- 用法
- 1日2回
- 用量
- 1日400~800mgになるように服用
例)250mg錠×1(朝)250mg錠×1(夜)、250mg錠×1(朝)250mg錠×2(夜) - 服用期間目安
- 1~2週間
ビブラマイシン(Vibramycin)
- 種類
- テトラサイクリン系抗生物質
- 特徴
- マクロライド系に比べると抗菌力がやや劣りますが、クラミジアやマイコプラズマなど特定の細菌にはよく効く薬です。抗生物質の中では、胃部不快感や吐き気などの副作用が出やすいと言われています。淋菌と合併している場合には、どちらにも有効です。
- 用法
- 1日1回
- 用量
- 100mg錠×2
- 服用期間目安
- 1~2週間
タリビッド(Tarivid)
- 種類
- ニューキノロン系抗菌薬
- 特徴
- 比較的新しい薬の種類なので、耐性菌が少ないと言われています。淋菌と合併している場合には、どちらにも有効です。鎮痛薬との飲み合わせが悪いため、常用している方は時間をあけて服用するか、鎮痛薬を中止する必要があります。
- 用法
- 1日2~3回
- 用量
- 1日300~600mgになるように服用
例)200mg錠×1/回を1日2~3回 - 服用期間目安
- 1~2週間
※記載の内容はあくまでも目安であり、完治を保証するものではありません。また、内服だけでは、完治の有無を判断することはできません。治療結果を知りたい場合には、再度検査することをオススメします。